- 回復期リハビリテーション病棟に向いている人の特徴7つ
- 回復期リハビリテーション病棟に向いていない人の特徴5つ
回復期リハビリテーション病棟看護師に向いている人は、回復期リハビリ病棟の看護師の仕事にやりがいを感じることができる人です。やりがいを感じられない人にはおすすめしません。
過去の病院で、急性期から異動になったベテランの看護師さんが「急性期に比べたらここは楽だ」とか「ここは看護師がすることは何もない」と言っている人がいました。
楽と感じるかどうかは人それぞれです。しかし、その人の言動からは明らかに「回復期の看護師=何もしなくて楽」というニュアンスがビンビンに伝わってきました。私の方が経験年数は少なかったけれど「この人は回復期に向いていないな」と感じていました。
ここで私が伝えたいことは「回復期病棟の看護師の役割をどの程度理解されてますか?」ということです。
ナイチンゲールのような精神を持ち合わせていないと回復期病棟の看護師になれない!なんてことはないのでご安心ください。
私ぽんぽこもそのような素晴らしい精神を持ち合わせて仕事をしていませんでしたから。
回復期リハビリテーション病棟に向いている人の特徴7選
回復期リハビリテーション病棟看護師の役割にやりがいを感じることができる人は、回復期リハビリ病棟に向いているでしょう。
やりがいを感じるかどうかは働いてみないと分からないですが、当てはまる項目が多い人は向いていると思います。
具体的には以下の7つです。
- 退院支援に興味がある
- チーム医療に興味がある
- 患者さんに寄り添った看護をしたい人
- 人とコミュニケーションをとることがすき
- じっくり考えて計画を立てることが好きな人
- 自発的にコツコツ勉強できる人
- 残業を多くしたくない人
1. 退院支援に興味がある
回復期リハビリ病棟の看護師の役割の一つは退院支援を行うことです。
退院後の生活を考えて、問題点を抽出し、看護計画を立案・介入を行います。
例えば、内服は毎食後か朝だけか。自分で管理できるのか。日中はリハビリパンツで夜間はテープ式オムツに変える必要があるのか、どの程度の容量が必要になるのか。
退院したその日から患者さんや家族は全て自分たちで対応しなければなりません。
患者さんや家族が安心して退院後の生活を送れるように、入院中から看護師は様々な視点をもって先を見据えた介入をしていきます。
いろんな視点を持つなんて難しそうだと不安に思う人もいるかもしれません。
回復期リハビリ病棟では様々な職種のスタッフと意見交換をすることができるため、全てを自分一人で背負う必要はありません。
退院支援に興味がある人には向いているでしょう。
2. チーム医療に興味がある
看護師の役割の一つは退院支援を行うことですが、退院支援は看護師だけで行うことはできません。
患者さん自身で内服管理をするためには医師や薬剤師との協力が必要となり、錠剤をシートや薬包から取り出すためには作業療法士にも協力してもらうことがあります。
食事に関しては栄養士、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士などなど、様々な職種がチームとなって同じ目標に向けてそれぞれが更に目標を立てて介入していきます。
回復期リハビリ病棟では自分一人で仕事を完結することの方が難しいため、チーム医療に興味がある人には様々なことを経験できる環境でしょう。
3. 患者さんに寄り添った看護をしたい人
回復期リハビリ病棟に入院する患者さんは疾患によって入院期間が決められており、最短90日、最長半年の入院ができます。
患者さんによって状態や条件、環境は違いますが、急性期のような急激な状態の変化が起こる可能性は低い病棟のため、一人ひとりに寄り添った看護をしやすい環境でしょう。
回復期リハビリ病棟で患者さんとじっくり関わる余裕があるのか、疑問に思う人もいるかもしれません。
一般病棟入院基本料は7対1、10対1ですが、回復期リハビリ病棟の看護師の配置は入院料1・2で13対1、入院料3・4・5で15対1です。
急性期よりも受け持ち人数は増えますが、治療や処置を行う時間は短くなるため患者さんと関わる時間は確保することはできます。
4. 人とコミュニケーションをとることが好き
看護師はもともとコミュニケーション能力が高い人も多く、チーム医療として他職種や家族と関わる機会の多い回復期リハビリ病棟ではコミュニケーション能力を活かせる環境にあります。
コミュニケーションに自信が無いけれど、回復期リハビリ病棟の仕事に興味がある人もいるかもしれません。
極端な意見ですが、仕事ができれば問題はないと私は思います。回復期リハビリ病棟では同じ目標をもって問題を解決するための情報共有や相談ができればいいのです。
つまり、自分の意見を相手が分かるように伝えることができて、意見交換ができれば十分でしょう。もちろん仲良くなって信頼関係を築ければ、仕事もしやすくなるかもしれませんが。
既に看護師として仕事をしてきた経験があるならば特別問題は無いでしょうし、新人さんでもコミュニケーション能力を高めるには最高の職場環境だと思います。
5. じっくり考えて計画を立てることが好きな人
回復期リハビリ病棟に入院している患者さんは疾患ごとに入院期間が決められています。
患者さんによって大まかな退院時期も設定されるため、入院期限よりも早く退院していく人も少なくありません。
入院時から看護計画の立案は必要ですが、患者さんとの関わりが増えてくると「内服管理が必要だな」とか「家族指導が必要だな」などいろいろな問題が見えてきます。
看護計画が頻繁に修正されていたり新たに立案されていると、担当看護師がどのような退院支援を行っているのか、患者さんとの関わりが意外と丸見えになります。
看護計画の立案は他の診療科や病棟でも看護師の業務として行ってきていると思うので、難しいことではありません。
6. 自発的にコツコツ勉強できる人
総合病院など複数の診療科がある病院であれば、新人さんでも回復期リハビリ病棟に配属されることがありますが、リハビリ専門病院の場合は経験者しか採用していない病院もあります。
新人の場合は教育担当がついて業務や疾患の勉強など、手取り足取り指導してくれるでしょう。しかし、中途採用の場合は、担当者すらつかないこともあります。
回復期リハビリ病棟では整形外科や脳神経外科などさまざまな診療科から患者さんが転院してきます。
例えば整形外科で3年の経験があるけれど、脳神経外科の患者さんはあまり関わったことがありません。
このケースではプリセプターがついて指導してくれることはほぼないでしょう。
自分で勉強していくしかありません。
経験が浅くても自発的に勉強できる人は向いています。状態が安定している患者さんが多いため、患者さんの状態を見てじっくり勉強していくこともできます。
7. 残業を多くしたくない人
回復期リハビリ病棟は予定入院のみ対応しており、緊急入院はありません。状態が安定している患者さんが多いため、イレギュラーなイベントによって残業になる頻度は少ないです。
私個人としてはできるだけ定時退勤をしたいママさんナースは向いていると思っています。
私の偏見と個人差があることを前提にお伝えしますが、ママさんナースは時間管理が上手で耐久心のある人が多いです。私には出来ませんでしたが、一緒に働いていたママさんナースたちの時間管理術は本当に凄かったです。
「いつも早く帰って常勤さんに迷惑をかけているから」と誰よりもナースコールを取り、急変の時でも完璧に引き継いで帰っていく背中はとてもかっこよかったです。
私には出来ませんでしたが…。
妊娠出産をきっかけに看護師を一定期間離れた人、急性期病棟に戻ることに不安がある人は回復期リハビリ病棟を考えてみても良いのかなと思います。
回復期病棟に向いていない人
回復期リハビリテーション病棟看護師の役割にやりがいを感じることができない人は、回復期リハビリ病棟にはあまり向いていないでしょう。
具体的には
- 退院支援に興味がない
- 治療に関する知識や技術を高めたい
- 気が短く相手にもすぐに結果を求めてしまう人
- あんまり勉強したくない
- 他職種との協調性がない
完全に私の偏見です。
当てはまっているから回復期リハビリ病棟で働く資格がないと思う必要はありません。
ビジネスライクに徹する看護師もいますからね。
では、それぞれを掘り下げて解説していきます。
1. 退院支援に興味がない
看護師の中には患者さんの「今」を見ることが好きな人もいます。価値観の違いなので良いか悪いかではありません。
退院支援に最初から興味の欠片も無い人には、業務が苦痛に感じてしまうかもしれません。
回復期リハビリ病棟の看護師には、患者さんや家族が退院後の生活で困らないように、入院中から問題点を見つけて介入していく退院支援を行う役割があります。
問題点を見つけるためには、患者さんや家族の情報を集めて分析する力や想像力が必要です。
「退院後の生活を考える想像力も分析力にも自信がない」と思う人もいますが、大丈夫です。
退院支援は一人で完結するわけではありません。周囲のスタッフからの意見を聞いて自分自身を成長させることができます。
退院支援に少しでも興味があるのであれば、実際に働いてみて体験してみるのが良いと思います。
2. 治療に関する知識や技術を高めたい
回復期リハビリ病棟だから治療に関する知識が必要ない、急変対応ができなくてもOKなんてことはありません。
脳梗塞の再発防止の指導を患者さんや家族に説明する時も、骨折した患者さんの対応をする時も、疾患や術式、禁忌肢位を理解しておく必要があります。
回復期リハビリ病棟でも急変はあります。しかし急性期病棟よりも急変する頻度は少ないですし、回復期リハビリ病棟では最低限の治療しか行いません。
専門的な治療や継続した状態観察が必要な場合は、急性期病棟へ転院してしまいます。
急性期の知識や医療技術を高めたくても、自己学習や研修会への参加の範囲に限られてしまうでしょう。
専門性を高めたい人は、臨床経験を積むことができる環境に身を置いた方が得るものは多くなります。
3. 気が短く相手にもすぐに結果を求めてしまう人
回復期リハビリ病棟の患者さんは日々のリハビリで地道な努力を重ねています。
入院時は介助で車椅子に移乗していた患者さんがリハビリによって杖歩行ができるようになることもありますし、経管栄養から経口摂取になる患者さんもいます。
しかし、これらの変化は日々の地道なリハビリの積み重ねによるもので、今日の明日で出来るようになることは難しいのです。そのため、看護目標も長期的にみて立てる必要があります。
気が短い人とはこの場合怒りっぽいということではなく、介入したことに対して目に見える結果をすぐに求めてしまうような人を指しています。
患者さんの状態やADLの変化のスピードをじれったく感じてしまう人や、長期的な目標を立てることが苦手な人にはつまらなく感じてしまうかもしれません。
4. あんまり勉強をしたくない
回復期リハビリ病棟ではリハビリがメインになるため、あまり勉強をしなくて済むと考える人もいるかもしれません。
確かに、既に看護師として経験があれば今までの知識や経験を活かすことは十分にできます。
しかし、回復期リハビリ病棟にいる患者さんは整形外科や脳神経外科など、さまざまな診療科から転院してくるため、未経験の診療科については勉強する必要があります。
特に初めて回復期リハビリ病棟を経験する人は、「日常生活機能評価」や「FIM」などの評価や、「看護必要度」も急性期とは違うため新たに知識として身につける必要があります。
回復期リハビリ病棟では自主的に勉強する姿勢が求められるため、回復期リハビリ病棟だから勉強しなくてもいいという考えを持つ人は改めた方がいいでしょう。
5. 他職種との協調性がない
回復期リハビリ病棟では他の病棟よりも多職種とも活発に情報共有をしていく職場のため、協調性がない人がやっていくのは難しいでしょう。
人見知りで大勢の人と仲良くすることが苦手な人もいるかもしれません。
私はスタッフとお友達になる必要も、飲み会の参加や連絡先の交換をする必要もないと考えています。
もちろん、仲が良い方が仕事もしやすくなりますが、社会人として挨拶やマナーを守り、看護師として自分の意見を伝え、同じ方向をむいて退院支援を行うことができればいいのです。
私自身もスタッフの連絡先はほとんど知りませんし、飲み会にもあまり参加しません。でも、仕事中は笑顔で穏やかに接し、積極的に情報共有や相談をするように意識していました。関係性は悪くなかったと私は思っています。
自分の仕事だけを淡々と行い、一人で情報を抱え込むような人には回復期リハビリ病棟は向いていません。
まとめ
回復期リハビリ病棟を「看護師は何もすることがないから楽そう」と考える人は一度よく調べてから、改めて考えてみてほしいかなと思います。
自分の考えとのギャップに「こんなはずではなかった」と思いかねませんし、周囲も困惑させてしまうでしょう。
「回復期リハビリテーション病棟とは何をする病棟なのか」を理解した上で、興味があるならばぜひ経験してみてほしいと思います。看護師としての新たなやりがいに気付けるかもしれません。
看護師としての経験があれば、多くの人にとっては大きなハードルを感じないのではないのでしょうか。
私自身も今回の項目にすべて当てはまっているわけではありません。
自発的な勉強なんてできていないし、退院支援に悩んで苦痛に感じる事もありました。忙しくて辞めたいと思ったこともたくさんありました。
それでも他のスタッフの力を借りながら頑張ることで仕事にやりがいを感じていたため、他科よりは向いているんじゃないかなぁと思います。
そんなもんです。
案ずるより産むがやすし。やってみてから向き不向きを知ってみてもいいかなと思います。
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