急性期・回復期・慢性期病棟の違いは?4つの分類と特徴を解説!

回復期リハビリテーション病棟

医療機関は毎年病棟ごとに医療機能を都道府県に報告することが医療法で義務付けられています。報告する医療機能は「高度急性期」、「急性期」、「回復期」、「慢性期」の4つに分類されています。

 

医療機能の名称医療機能の内容
高度急性期機能○ 急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療を提供する機能
急性期機能○ 急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、医療を提供する機能
回復期機能

○ 急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能
○ 特に、急性期を経過した脳血管疾患や大腿骨頚部骨折等の患者に対し、ADLの向上や在宅復帰を目的としたリハビリテーションを集中的に提供する機能(回復期リハビリテーション機能)

慢性期機能○ 長期にわたり療養が必要な患者を入院させる機能
○ 長期にわたり療養が必要な重度の障害者(重度の意識障害者を含む)、筋ジストロフィー患者 又は難病患者等を入院させる機能

引用:厚生労働省05_資料2-2_平成30年度病床機能報告の見直しに向けた議論の整理(資料編) (mhlw.go.jp)

病棟看護師として働いているのであれば、医療機能分類について理解している人は多いかもしれませんが、意識をしながら仕事をしている人は少ないでしょう。実際、厳密な違いについては知らなくても仕事は出来ます。

しかし、これから病院や有床診療所で働こうと思っているのであれば入職や転職した後に「あれ、思っていた病棟と違うな」ということならないために、これらの違いについて最低限の理解はしておいた方がいいでしょう。

高度急性期の特徴

高度急性期とは「急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療を提供する機能」とされています。

※高度急性期機能に該当すると考えられる病棟の例

救命救急病棟、集中治療室、ハイケアユニット、新生児集中治療室、新生児治療回復室、

小児集中治療室、総合周産期集中治療室であるなど、急性期の患者に対して診療密度が特に

高い医療を提供する病棟

受傷や発症して間もないため、状態が不安定で専門性の高い治療を行います。看護師は全身状態の観察はもちろん、状態変化に合わせて臨機応変な処置や対応を求められます。

急性期の特徴

急性期とは「急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、医療を提供する機能」とされています。

高度急性期を脱していはいるものの、症状や全身状態がまだ不安定のため治療をしていく必要がある時期です。病院や有床診療所全体でみて一番割合の多い機能になります。

回復期の特徴

回復期とは「急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能」「特に、急性期を経過した脳血管疾患や大腿骨頚部骨折等の患者に対し、ADLの向上や在宅復 帰を目的としたリハビリテーションを集中的に提供する機能(回復期リハビリテーション機能)」としています

回復期リハビリテーション病棟はもちろん、急性期でも「急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療」を提供している場合も該当します。つまり、回復期は回復期リハビリテーション病棟だけが該当するわけではありません。

急性期を脱して状態は安定してきているが、まだ在宅や地域での生活できる状態ではないため、そのためのリハビリなどを行っています。治療よりも在宅支援の意味合いが強くなります。

回復期機能をもつ病棟の看護師は患者さんが在宅や地域で生活できるようになるための退院支援の役割がありますが、回復期の患者さんの急変リスクがなくなる訳ではありません。全身状態の観察や症状の有無については観察を継続していく必要があります。

慢性期の特徴

慢性期とは「長期にわたり療養が必要な患者を入院させる機能」「長期にわたり療養が必要な重度の障害者(重度の意識障害者を含む)、筋ジストロフィー患者 又は難病患者等を入院させる機能」とされています。

急性期を脱してはいますが、継続した治療が必要な状態です。急性期よりも症状が安定しており、長期入院の患者さんが多いため、全員状態の観察やケアだけではなく精神的なケアを行うことも看護師の役割です。

まとめ

病院など一括りにいっても様々な機能があります。病院全体をみると急性期機能を持つ病棟はまだまだ多いですが、回復期機能をもつ病棟は徐々に増えてきています。

新人時代に急性期機能の病棟に配属される人の割合は多いかもしれません。しかし、病棟によって看護師に求められる役割は少し違います。

病院機能を知ることによって、看護の視野を広げることが出来ます。看護師としてのキャリアを考える時の参考になれば幸いです。

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