回復期リハビリ病棟看護師の1日の仕事の流れを2ヵ所の病棟を例に紹介

回復期リハビリテーション病棟

私は3つの病院の回復期リハビリ病棟に勤めた経験がありますが、回復期リハビリ病棟としての機能は同じでも、スケジュールや業務の違いがありました。私が勤めていた2か所の回復期リハビリ病棟における通常の平日の1日の流れについてご紹介します。

回復期リハビリ病棟の業務を知らない人の中には「回復期リハビリテーション病棟の看護師って暇なの?」「患者さんがリハビリ行ってる間は何をしているの?」と疑問に思う人もいるのではないのでしょうか。

まず、回復期リハビリ病棟は決して暇ではありません。しかし、どの病棟でも必ず定時で帰る猛者がいました。決して手を抜かず、むしろ患者さんのことをとてもよく考えている看護師として尊敬する人たちでした。

時間管理の仕方は人それぞれですが、恥ずかしながら私は時間管理が得意な方ではありません。なので、病棟としてどのようなタイムスケジュールが組まれているのかという事をお伝えします。

ここでは私が経験した3つの病棟のうち、スケジュールの違いが分かりやすい2つの病棟を例に挙げたいと思います。手元に資料がないため完全に私の記憶による1日になりますが、概ね正しいのでイメージの参考程度にご覧ください。

A病院の1日(大学病院)

私が勤めていたA病院は回復期リハビリ病棟の1日の流れを紹介します。

A病院の概要
  • 勤務時間:日勤8:30~16:45、夜勤16:30~9:00(仮眠2時間)
  • ベッド数:40床弱
  • 2チーム制
  • 日勤:リーダー1人、各チームリーダー1人、メンバー2人の計7名程度。
  • 夜勤:リーダー1人、各チームに1人の計3名。
  • リーダー:受け持ちなし
  • 受け持ち人数:5~7人
  • 入院担当:受け持ちしながら担当
8:30申し送り
9:00リハビリ送迎 ラウンド ケア 病棟訓練
11:30昼食 投薬
13:00リハビリ送迎
14:00チーム間カンファレンス
16:30申し送り (夜勤者夕食準備)
16:45日勤退勤(終業後カンファレンス)
17:30夕食
19:00ラウンド 就寝準備
21:00消灯 カンファレンス準備 看護計画見直し
6:00起床 ラウンド 朝食準備
7:30朝食 投薬
8:30申し送り
9:00夜勤退勤

日勤

主な業務
  • 申し送り
  • ラウンド
  • リハビリの送迎
  • 病棟訓練
  • チームカンファレンス
  • カンファレンス

午前中は主に患者さんの状態観察とケアを中心に行い、空いた時間に病棟訓練などを行います。午後は業務の合間にチームカンファレンスを行います。また午前中にできなかったケアや訓練などを行っていきます。

申し送り

夜勤から日勤への申し送りは夜勤者が各チーム毎に交互に申し送りを行います。Aチームが申し送り中はBチームのスタッフはラウンドやコール対応をします。朝礼にはセラピストのリーダー的ポジションの人が参加しますが、申し送りは看護師のみで行われます。

日勤から夜勤への申し送りはメンバーはチームリーダーに申し送りをし、チームリーダーが夜勤者に申し送りをするシステムでした。

日勤からの申し送りをチームリーダーがまとめて夜勤者に行うことで、その時間はメンバーがコール対応や看護記録を行います。

記録に書いていることは基本的には口頭での申し送りは行わず、補足的内容や状態の悪い患者さんなどの特別なことを申し送ります。

ラウンド

検温は1日1回の指示で行う事が多く日勤で行います。もちろん患者さんの状態により指示は変わります。

ラウンドでは検温や状態観察の他、患者さんの予定を一緒に共有します。

回復期病棟の患者さんの中には自分で歩行や車椅子を自操して自由に移動する人もいるため、こちらの都合で訪室しても売店や自主的にリハビリを行い不在になる人もいます。

患者さんにも予定があるので、看護師都合で突撃訪室してケアや病棟訓練を行うよりも遥かに信頼関係を築きやすくなります。

リハビリの送迎

患者さん1人ひとりに毎日リハビリのスケジュールが組まれており、病棟スタッフが時間に合わせてリハビリ室まで送迎をします。

病棟でリハビリをするときは事前に送迎不要の連絡がありますが、この病棟では主にリハビリ室で行われていたので、ほとんどの患者さんが送迎を必要とします。

20分おきに病棟スタッフ総出で送迎を行うため、スケジュール管理がとても大変です。時間厳守なので事前に患者さんには離床していただいたり、送迎に合わせてケアやラウンドを行う必要があります。

病棟訓練

看護師がリハビリ以外の時間に訓練を行うことがあります。よく行われる訓練には歩行訓練や、立位訓練、移乗訓練などがあります。

1人ひとりの介助方法や注意点が違うので事前に介助方法をリハビリスタッフから指導してもらい実施し、記録に残します。

許可を得て1人で訓練を行う患者さんもいますが、多くの患者さんは介助者が必要になります。患者さんにとっても、看護師がそばで見ていてくれることで安心感を得ながら訓練を行うことができます。

チームカンファレンス

各チーム交代でカンファレンスを行います。その日の受け持ちで気になる人について話し合ったり、自分の担当患者さんについてチームで情報を共有したり相談をしていきます。

カンファレンスを行う時間は明確に決められていませんが、10分程度で終わる日もあれば、30分以上話し合うこともあります。

また急変対応やその他の業務で忙しい日はカンファレンスが実施できない日もあります。

カンファレンス

チームで行われるカンファレンスとは別に、他職種と合同で行われるカンファレンスは勤務終了後に設定されています。

出席するのは患者さんの担当看護師かその日受け持ちをした看護師です。カンファレンス時には事前に担当看護師が作成しておいたカンファレンスシートを持参します。

カンファレンスシートにはそれぞれの職種がこれまでの介入による結果や今後の目標などを記載したもので、退院支援の方向性を職種間で共有するために使用します。

患者さん1人に対して毎月実施されるため、カンファレンスは平日ほぼ毎日実施していて1日に患者さん2人分、1人につき30分程度行います。

普段から他職種とコミュニケーションや情報共有をしているので、改まってこの場で何かの議論をすることはあまりなく、各々の介入状況の確認であったり退院までの目標設定などを行うことが多いです。

夜勤

主な業務
  • ラウンド 
  • 就寝準備
  • 事務作業(カンファレンス準備・看護計画見直し)
  • 起床ラウンド

回復期リハビリテーション病棟の夜勤は意外とナースコールに追われることが多く、隙間時間には日勤でできないような事務作業を行います。

ラウンド

申し送りから夕食までの間に挨拶程度のラウンドを行い、検温や観察などは夕食後から就寝までの間に行います。

特に夕食前はトイレに行く患者さんも多く、食事のために離床を促すことや食堂に誘導する患者さんの対応に追われます。

患者対応の他、夕食後薬の準備や血糖測定、インスリン注射の準備などの業務を日勤者よりも少ない人数で行うため、バタバタしています。

就寝準備

夕食後から消灯までの時間に口腔ケアや更衣を行います。回復期リハビリ病棟の特徴として就寝前と起床後に更衣を行います。

自分で更衣ができる患者さんもいれば、裾通しなど部分的な介助が必要な人、全介助が必要な人など介助量は異なります。

食後や消灯前のトイレ介助も多くなるため、ナースステーションに戻る暇はほとんどありません。

眠前薬の対応などもしているとあっという間に消灯時間になってしまいます。

事務作業(カンファレンス準備・看護計画見直し)

消灯時間になるとナースコール対応も落ち着き、椅子に座れるようになります。

事務作業は業務として組まれている訳ではありませんが、この時間を利用して事務作業を行うスタッフは多いです。

特にカンファレンスシートの作成や看護計画の見直しなど、一定時間が必要な作業は夜間に行うことが多いです。

また委員会や役職のある人はそれらの作業を行うこともあります。

起床ラウンド

患者さんを起こしながら必要な人の検温などを行います。

また、更衣やトイレ介助のナースコールが鳴り続けるので、朝食までは忙しいです。

朝食が来るまでの間に時間があればカルテを記入します。

B病院の1日(リハビリ専門病院)

私が勤めていたB病院の回復期リハビリ病棟の1日の流れを紹介します。

B病院の概要
  • 勤務時間:日勤8:30~17:30、夜勤17:00~9:00(仮眠2時間)
  • ベッド数:40数床
  • 2チーム制
  • 日勤:各チームリーダー1人、メンバー1〜2人の計5〜6名。
  • 夜勤:、各チームに看護師1人、介護福祉士1人の計3名。
  • リーダー:報告は病棟責任者(師長or師長代理)にする。チームリーダーは受け持ちあり。
  • 受け持ち人数:7~10人
  • 入院担当:受け持ちはせず、入退院担当に専念
8:30申し送り
8:50午前のリハビリ開始
9:00ラウンド ケア 病棟訓練
11:30昼食配膳 投薬
13:00午後のリハビリ開始
14:00チーム間カンファレンス カンファレンス
17:00申し送り (夜勤者夕食準備)
17:30日勤退勤
17:45夕食配膳 投薬
19:00ラウンド 就寝前準備
21:00消灯
6:00起床 ラウンド 朝食準備
7:30朝食配膳 投薬
8:30申し送り
9:00夜勤退勤

日勤

主な業務
  • 申し送り
  • ラウンド
  • ケア
  • 病棟訓練

午前中は行動調整や情報共有に始まり、ラウンドやケアをメインに行っていきます。午後はカンファレンスを優先しながら、隙間時間で看護記録の入力や午前中に出来なかったケアなどを行っていきます。

申し送り

夜勤から日勤への申し送りはチーム毎に行い、看護師とセラピスト、MSWが参加します。

記録に残してあることは口頭では申し送らずに、補足情報や記録が間に合わなかった情報を申し送ります。

日勤から夜勤への申し送りはチーム毎に申し送りをします。

チームの申し送りが終わると夜勤者全員で病棟全体の情報共有をします。

連日患者さんのADLの変更や介助方法の変更の情報があるため、全体で情報を共有する必要があります。

また朝の申し送り時はセラピストやMSWも参加するため、訓練のデモンストレーションのセッティングや食事の介入など全体で情報共有を行い、行動計画に組みこみます。

朝は個別で他職種と情報共有や時間調整などを行うため、とてもバタバタしています。また申し送り後に薬剤師や管理栄養士も病棟に来るため様々な情報共有を行うことができます。

他職種の出入りが活発な病棟は話がしやすい環境になり、業務の効率化や対応の速さに繋がります。

ラウンド

日勤帯のラウンドでは検温や全身観察の他、患者さんの予定を一緒に共有します。

面会などの患者さん個人の予定もありますが、医師との面談や認定調査、検査時間、ケアや病棟訓練を行う時間などもリハビリの合間に行います。

細かい予定を共有し、予定時間には病棟にいてもらうようにします。

リハビリ以外の時間も予定が詰まっている患者さんも多いので、隙間時間には休息を促すことも看護師の役割です。

病棟訓練

看護師がリハビリ以外の時間に訓練を行うことがあります。よく行われる訓練には歩行訓練や、立位訓練、移乗訓練などがあります。

病棟訓練の開始前にセラピストにデモンストレーションを行ってもらい、介助方法や注意点を指導してもらいます。

病棟訓練状況は記録に残し、セラピストは日々のリハビリや看護記録から病棟訓練の内容を調整してくれます。

徐々に訓練の負荷を変えることでADLの向上に繋がり、移乗訓練から始めた患者さんが入院中に見守りレベルでの歩行ができるようになることもあります。

チーム間カンファレンス 

各チーム交代でカンファレンスを行います。病室や患者さん毎にカンファレンスを行う曜日を決めており、一週間かけて全員のカンファレンスを行うようにしています。

カンファレンスでは退院目標や現在のADL、FIMの状況を確認しながらアプローチ方法を考えることや、セラピストへの協力依頼などを話し合います。

例えば、身体機能の向上からトイレに行き始めた患者さんのオムツをテープ式からリハビリパンツに変更し介助量を減らしたり、食事摂取量が減ってきている患者さんの食事内容について管理栄養士に相談したりします。

カンファレンスをした内容は必ず看護記録に残します。看護記録は様々な職種が確認するため、情報共有のためにも記録に残すことはとても大切です。

カンファレンス

看護師、医師、担当セラピスト、MSW、薬剤師、管理栄養士が参加して事前に作成したカンファレンスシートを使用してカンファレンスを行います。

カンファレンスは患者さん1人に対して月に1度行うので、平日は毎日行われています。

それぞれの視点から現在の患者さんの状況を確認し、退院への見通しを立てます。

退院への見通しに合わせて家屋調査や自宅改修など様々な調整が必要になるため、入院した初期段階から概ねの見通しを立てて各職種が動いて行きます。

看護師はカンファレンスでは患者さんの状態の他、睡眠や排泄、食事状況や内服管理状況などについて言及します。

夜勤

主な業務
  • ラウンド
  • 事務作業
  • 起床ラウンド

夜勤は夕食から消灯まで、起床から申し送りまでの時間はバタバタしています。患者さんの入眠中は比較的落ち着いていますが、コール対応が多いと一晩中走りっぱなしになることもあります。

ラウンド

夕方の申し送りが終わるとすぐに夕食の準備に入ります。患者さんはほぼ全員食堂に離床させ、食後もトイレ介助や口腔ケア、就寝前の更衣などの就寝準備をラウンドをしながら行っていきます。

ナースコールも多いため、患者さんとゆっくり会話をしながらラウンドを行うことはあまりできません。そのため病室への送迎時や介助時などに話をしたり観察をしながら情報収集をしていきます。

事務作業

消灯から起床時間までは基本的にはナースコール対応を行いながら事務作業を行います。

カンファレンスシートの作成や、リハビリ総合実施計画書の記入、担当患者の看護計画の評価や修正、新たな計画の立案を行います。

委員会の仕事や役職の仕事がある人もいるので行う作業は意外と多いです。

夜間のナースコールのほとんどはトイレ介助やセンサー対応ですが、忙しい時は一晩ナースコールがなり続けることもあります。

起床ラウンド

起床と同時に離床やトイレ介助のナースコールが鳴り響きます。ラウンドを行いながら朝の更衣や食堂への誘導などを行います。

回復期リハビリ病棟では採血の頻度は多くありません。月に1回程定期的に経過観察のために採血や採尿を行います。また、入院患者さんの採血も入院時に取ることが多いのであまりありません。

朝の検査は少ないものの、更衣や離床の介助が必要な患者さんが多いことは回復期リハビリ病棟の特徴といえるのではないでしょうか。

まとめ

回復期リハビリ病棟の一日の流れを私の経験に基づいて2ケース紹介しました。

同じ回復期リハビリ病棟でも、リハビリの送迎の有無やカンファレンスの時間は違います。また、流れとしては一緒でも他職種とのやりとりの頻度や患者さんのADLの変化の状況は違います。

回復期リハビリ病棟は患者さんの対象疾患が決まっていますが、重症度や介助量は患者さんによって違いますし、身体機能が向上するスピードも人それぞれです。

私は3つの病棟を経験しましたが病棟によって忙しい時間や内容は少し違ってきます。私の経験上では専門病院の方がカンファレンスや患者さんへのアプローチを積極的に行っていたので、業務時間を占める割合も多かったです。

どちらが良いということは決してありませんが、回復期リハビリ病棟について少しでも参考になれば幸いです。

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